岸上獣医科病院
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「生物学的整形外科」の新しい展開 (V)
岸上義弘 (岸上獣医科病院院長・大阪市獣医師会会員)
日本獣医師会雑誌 2005年 11月号 Vol.58 掲載
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(6)人工関節の脱臼:
実は人間の人工関節でも、術後の脱臼は整形外科医を悩ませている。無理な姿勢を取ると、人工関節は脱臼しやすい。たとえば和式のトイレに入ったりすると外れやすい。そういう姿勢を取らないように医師にやかましく言われる。学会での話題として、精神障害を持つ患者の全置換手術のあとは、かなり脱臼の頻度が高くなり、医師泣かせであるという。それでは、患者が犬である場合、どうであろうか。犬は後ろ足で耳を掻くのだ!
(7)衝撃吸収能が皆無:
たとえば人工骨頭の部分に衝撃が加わったとき、その力学的な力の波はステム部分に押し寄せる。衝撃吸収性のある天然海綿骨は衝撃波を減衰していく能力があり、大腿骨皮質に届くときには弱い波になっている。しかし、人工骨頭と金属ステムという組み合� ��せの場合、衝撃吸収性はまったく考えられておらず、ただ体重をいかに支えるかというコンセプトのもとに頑丈に作られている。衝撃波は直接皮質骨に伝導され、緩みにトドメを刺す。
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以上のことから分かるように、犬の人工関節というものは、骨吸収そして人工関節の緩み(loosening)を引き起こすことによって、固定が破綻することがある。セメントレスという方法は、セメント法と比較してセメントを使っていないという利点はあるものの、上記の多くの欠点は何一つ改善していない。つまり、私は犬に人工関節を入れ込むこと自体に、無理があると考えている。
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一般に「右肩上がり」「右肩下がり」という言い方をされることがある。グラフで表現したときに、段々と調子が上がっていくのが右肩上がり、段々と調子が下がっていくのが右肩下がりである。この人工関節というものをグラフで表現すれば、右肩下がりである。
初期には痛みなくしっかりと歩くが、人工関節が衝撃で緩んだり、骨が吸収されて緩んでくると段々と調子は悪くなり、痛みも発生する。かつてセメント法人工関節を実施して、懲りた先生方は、こういう感触を身をもって体験されていると思う。
さて、もしも本格的に緩みが発覚したとき、人工関節を摘出しようということになる。その時、セメント法の時よりもセメント レスの方が摘出しやすい。メーカー側は、それがセメントレスの良いところだという。ちょっと待って欲しい。初めから医原的に骨破壊し、骨吸収しやすくし、緩みやすい人工物を入れておいて、「摘出しやすいから良い。」とはどういうことか。
もともと人工関節というのは、患者本人が「人工関節を入れている」と自覚している人間でさえ、緩みの問題に悩まされている。獣医領域で、患者(犬)はそういった自覚は無く、痛みが消えたとたんに走り、ぶつかり、転げ回るのである。構造的に衝撃を吸収するメカニズムなど、皆目考えられていない稚拙な医科器械である。緩まない方がおかしいのである。つまり人間でも緩んで困っている人工関節を、そっくりそのまま犬に持ってこようとすることに、なおさら大きな無理があるのだ。
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